離婚に関する Q&A

浮気や不倫などが原因で、離婚をお考えのあなた。
一口に離婚と言っても誰もが同じ状況ではなく、一人ひとりケースはそれぞれ異なります。また、離婚問題を解決するにあたり、法律を知らない事で損をすることが沢山あるのが現実です。
そこで、ここでは、是非知っておきたい「法律知識」をご紹介したいと思います。

内容証明郵便について
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本(※1)によって日本郵便株式会社が証明する制度です。
日本郵便株式会社が証明するものは内容文書(※2)の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。
(※1)謄本とは、内容文書を謄写した書面をいい、差出人及び差出郵便局において保管するものです。
(※2)内容文書とは、受取人へ送達する文書をいいます。
また、電子内容証明サービス(e内容証明)は、インターネットで24時間受付可能です。

主な内容証明の差出方法等は、次のとおりです。

(1) 差出郵便局
差し出すことのできる郵便局は、集配郵便局及び支社が指定した郵便局です。 すべての郵便局において差し出すことができるものではありませんので、あらかじめ差し出そうとする郵便局へお尋ねください。
(2) 差出方法
郵便窓口に次のものを提出します。
(1)内容文書(受取人へ送付するもの)
(2)(1)の謄本2通(差出人及び郵便局が各1通ずつ保存するもの)
(3)差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒
(4)内容証明の加算料金を含む郵便料金
念のため、差出人の印鑑をご用意いただくことをお勧めいたします。
内容文書・謄本とも、用紙の大きさ、記載用具を問いません。市販の内容証明用紙以外の用紙を用いても、また、コピーにより作成してもかまいません。
ただし、謄本には字数・行数の制限があります。詳細は日本郵便株式会社のご利用の条件等をご確認ください。

<その他>
差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求することができます。
また、差出人は差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができます。
公正証書について
公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門「公正証書」家であり、準公務員という扱いになります。
公正証書には証明力があり、執行力を有しており、安全性や信頼性に優れています。
例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、支払いが滞った場合に、本来であれば裁判で確定判決を受けなければ行うことの出来ない、給与や口座の差押などの「強制執行」の申立が直ちに行えます。
また、遺言公正証書においては、家庭裁判所の検認手続きが不要となります。

公正証書には、通常の契約書や遺言書などとは違い、以下のような効力があります。

1.証明力
公正証書は、法律のプロである公証人が、書面の記載内容について、法令違反がないかどうかを確認し、 作成当事者の身元について、印鑑証明書などで確認してから作成を行います。
その為、あとで公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
また、遺言公正証書においては、家庭裁判所の検認手続きが不要とされています。
2.執行力
公正証書は信頼性が高いため、例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、「強制執行」の申立が直ちに行えます。
本来であれば、強制執行をするためには、裁判所に訴訟を提起し、勝訴の判決を受け、確定されなければなりません。
もちろん、ある程度の時間や労力、費用などの負担を要しますし、その訴訟係争中に相手が破産するなど経済的に破綻してしまったら、 執行出来たはずのものさえ出来なくなる危険があります。
そういう意味では、公正証書の持つ執行力は、債権保全において、とても強い威力を発揮します。
3.安全性
公正証書の作成においては、書面の記載内容について、法律のプロである公証人が、法令違反がないかどうかを確認し、 作成当事者の身元については印鑑証明書などで確認します。
その為、文書の成立において、真正であるという推定力が働きます。
あとで公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
作成された公正証書の原本は、公証役場で20年間保管されますから、改ざんや変造の心配もありませんし、 万が一、交付された正本や謄本が紛失や盗難、破損などしても、再交付を受けることが可能であり、とても安心です。
4.事実上の効力
公正証書は通常の契約等とは異なり、具体的な文面内容と疎明資料、および当事者本人の確認資料を元に、厳正に作成手続きが行われます。
法律の専門家である公証人が関与して作成する公文書でもあり、破棄や紛失、改ざんのおそれがなく、金銭債務においては執行力もあります。
そのような効果は、事実上の効果として、何よりも、当事者双方に履行の厳守を促し、違反しないように細心の注意を払うことを自覚・認識させることができ、 不払いや約束違反などの不履行の生じる危険を最小限にすることができます。
これは心理的な効果でもあり、極めて重要ともいえる「事実上の効果」です。
支払い督促の申し立てについて
支払督促(しはらいとくそく)とは、金銭債権を対象とした法的手段による債権回収の方法であり、 訴訟と比べ手続きに時間と費用がかからないためお手軽に着手することができる点が支払督促の特徴です。
しかしながら手続きが簡易的な分、訴訟と比べて債権回収する上で確実性の薄い方法であるため、利用者を選ぶ手続きでもあります。
支払督促におけるメリット、デメリットを踏まえどのような方が支払督促に適切なのか、支払督促の申立方法から申立にかかる費用などを紹介します。
支払督促の目的
まず支払督促とは、裁判所へ申立をすることで、裁判所が代わりに債務者へ督促の通知をするための手続きです。 支払督促を通して、裁判所から債務者への督促は2回、行われますが、裁判所からの督促行為に対し債務者から反応がなければ、申立を行った債権者は債務名義(※)として、仮執行宣言付支払督促を取得することができます。この仮執行宣言付支払督促を取得することで、最終的に強制執行をすることで債権回収をすることができるため、裁判所からの督促行為以上に、仮執行宣言付支払督促の取得は支払督促をする目的の一つです。
※債務名義:債務者に対して債権の存在を公的に証明した書類

メリット
まず支払督促を用いるメリットとしては、手続きの簡易性があげられます。
訴訟と違い、申立書が正式に受理されれば、裁判所からの審査がないため、申立人が裁判所へ出頭する必要がありません。
さらに裁判所から債務者への尋問、証拠調べなどが行われないため、債務者から異議申立がなければ約1ヶ月で強制執行へ踏みこむことが可能です。
また、申立の手数料は訴訟の半額と定められているため、申立費用が安くすみます。
デメリット
支払督促を利用するデメリットは、迅速な対応ができる代わりに、 貸付金や売掛金など金銭債権における請求だけが対象になる点と、申立先の裁判所が債務者の住所を管轄する簡易裁判所である点です。
少額訴訟について
民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則として1回の審理で判決まで行う特別な訴訟手続きです。 即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理当日にその場ですぐに調べられるものに限られます。 審理は基本的に、裁判官と丸いテーブルに着席する形式で進められます。判決や和解の内容に相手が従わない場合は、強制執行を申し立てることができます。
判決に不服がある場合は、異議を申し立てることができるが、控訴することはできません。
利用回数は、一人につき同じ裁判所で年間10回までに制限されています。
公示送達について
この手続は、あなたの意思表示を相手方に到達させたいが、相手方が誰であるか分からないため。又は、相手方の住所が分からない(相手方が法人の場合には、法人及び代表者の所在が分からないことが必要)ために、意思表示を到達させることができない場合に、その意思表示を到達させるための手続です。
相手方の所在が判明していて、相手方が郵便物を受領しないという場合には、この手続を利用して意思表示を到達させることはできません。
また、あなたが相手方に対する訴訟提起を予定している場合には、本手続の必要がない場合があります。
申立てをすべき裁判所は、相手方が所在不明の場合は、所在不明になる直前の住所地(最後の住所地)を管轄する簡易裁判所です。
債権回収について
金銭債権の回収には(1)督促通知、(2)訴訟、(3)強制執行の手順で行うのが一般的です。
また(4)債権を第三者に有償で譲渡することで回収を図ることも可能です。

(1) 督促通知について
督促通知は、内容証明郵便で行います。 通知内容の食い違い、通知の有無、日時について、後日争いにならないようにするためです。 通知書には下記の事項を記載して下さい。
債権の成立日、もともとの債権額
残債権額、約定利率、約定遅延損害金利率
期限が到来している場合には、履行期限日
分割弁済の約定があるが、弁済が遅延している場合には、 法定又は約定の期限の利益喪失事由に該当している事実と、残額を一括弁済するよう請求すること
期限を定めていなかった場合には、相当期間(1週間〜10日程度)をおいての履行の催告
支払期限
支払口座
支払がなされなかった場合の措置
(2) 訴訟について
訴訟は、請求額(140万円以内か超か)により、地方裁判所または簡易裁判所の管轄が変わります。
簡易裁判所書記官への支払督促の申立ても可能ですが、相手方が異議を申し立てた場合には訴訟に移行します。
訴状をもって(1)の督促通知に代えることも可能です。
訴訟方法は弁護士等の専門家にお尋ね下さい。
(3) 強制執行について
(2)の訴訟で勝訴判決を得て、これが確定したにも拘わらず、債務者が弁済しない場合には、債務者の資産を差し押さえて強制執行をすることが可能です。
強制執行の申立ては改めて裁判所に申し立てることになります。詳しくは弁護士にお尋ね下さい。
(4) 債権譲渡について
債権の購入希望者がいる場合には、有償で譲渡して債権を回収する方法があります。
但し回収見込みの不十分な債権として、一定額の値引きがなされます。
債権譲渡をするに当たっては、手続的に債権者から債務者に対する確定日付けによる通知が必要です。
また譲受人が法務大臣の許可を受けることなく業として債権回収を行う者であった場合には、弁護士法に抵触する可能性がありますので、十分注意して下さい。
債務名義について
債務名義とは債権、債務の事実を公的に認められた法律的な有効な書面です。強制執行は次に揚げる債務名義により行います。
(1)確定判決
(2)仮執行の宣言を付した判決
(3)抗告によらなければ不服を申し立てることが出来ない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては確定したもの)
(4)仮執行宣言を付した支払督促
(5)訴訟費用若しくは和解の費用の負担額を定める裁判所書記官の処分、又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者は確定したもの)
(6)金銭の一定の額の支払で、公証人が作成した公正証書の債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの
(7)確定した執行判決のある外国裁判所の判決又は仲裁判断
(8)確定判決と同一の効力を有するもの
供託について
1.供託とは
金銭、有価証券等を国家機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。
但し、供託が認められるのは、法令(例えば民法、商法、民事訴訟法、民事執行法等)の規定によって、供託が義務付けられている場合、又は供託をすることが許容されている場合に限られています。

2.供託の種類
(1)弁済のためにする供託(弁済供託)
(2)担保のためにする供託(担保保証供託)
裁判上の保証供託、営業上の保証供託及び税法上の担保供託
(3)強制執行のためにする供託(執行供託)
(4)保管のための供託(保管供託)
(5)没取の目的物の供託(没取供託)

3.供託所とは
一般的には法務局、地方法務局又はそれらの支局、若しくは法務大臣の指定する出 張所が供託所として供託事務を取り扱っています。供託すべき供託所は、供託の種類によって異なります。
(1)弁済供託の場合は、債務履行地に所在する供託所
(2)営業上の保証供託の場合は、主たる営業所または事務所の最寄りの供託所
(3)裁判上の保証供託の場合は、担保を立てるべきことを命じた裁判所または執行裁判所の所在地を管 轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所
(4)執行供託の場合は、債務履行地の供託所が管轄供託所となります
強制執行について
1.強制執行とは
強制執行とは支払い義務のある相手側(債務者)が、支払いを約束した金額を、約束とおりの支払いがない場合に、国の権力(民事執行法)によって強制的に相手側(債務者)の財産を差し押さえ(財産の処分を禁止する事)、支払いを実行させる制度です。
全ての場合に有効な訳ではなく、強制執行をするには定められた条件を満たす必要があります。
2.強制執行に必要なもの
(1)債務名義(権利の存在を公的に証明する文書)
確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書、調停調書、公正証書等がこれにあたります。
公正証書については、請求内容が金銭、代替物、有価証券で執行任諾、条項の記述を要します。
(2)執行文の付与
実際に強制執行を行うための執行文(強制執行を行う事が出来る旨を記載した文書)が必要になります。判決と和解調書の場合には、裁判所の書記官より執行文を付与してもらいます。公正証書の場合は作成した公正証人役場の公証人に執行文を作成してもらいます。調停証書と和解調書の場合には執行文は必要ありません。
(3)送達証明書
強制執行を行う前に、債務者(支払いをしない相手)に債務名義を送達(強制執行を行う旨の通知)する必要があります。公正証書以外はそれぞれの文書を発行した裁判所、公正証書の場合は公正証人役場にて送達を申請し、「確かに書類を送達した」事を証明する送達証明書を発行してもらいます。
弁護士費用について
経済的利益に応じて、報酬規定に定められた割合を掛けたもの着手金、報酬金の標準額としています。以下は弁護士会の旧報酬規定ですが、ご参考程度にお願いします。
<着手金> 300万円以下の場合 8% 300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円 3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円 3億円以上の場合 2%+369万円 <報酬金> 300万円以下の場合 16% 300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円 3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円 3億円以上の場合 4%+738万円
裁判費用について
1.裁判費用について
法律で定められている訴訟費用は、基本的には裁判に負けた者が負担することになります。
訴訟費用には、訴状やその他の申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料のほか、書類を送るための郵便料及び証人の旅費日当等があります。ここでいう訴訟費用は、裁判を行うのに必要なすべての費用を含むわけではなく、例えば弁護士費用は訴訟費用に含まれません。

2.支払い猶予等について
「訴訟上の救助」や「民事法律扶助による立替制度」があります。
(1)訴訟上の救助とは、訴訟費用を支払う資力の乏しい者でも、裁判を受ける権利を保障するため、訴訟費用の支払を猶予する制度です。
但し、申立ての内容等から裁判に勝つ見込みがないことが明らかなときは、認められないことがあります。
(2)民事法律扶助による立替制度とは、日本司法支援センター(法テラス)が実施する制度です。
資力に乏しい方が問題解決のために弁護士等への依頼を必要とする場合に、資力や勝訴(問題解決)の見込みを審査の上、弁護士費用等の立替えを行います。